「富山は人手不足だから、求人を出しても応募が来ない」。そう感じる経営者は少なくありません。富山労働局が公表した2026年5月の有効求人倍率は1.46倍でしたが、この数字だけで自社の採用難易度を判断することはできません。
この記事では、最新の公表値を全国値や正社員の動きと分けて確認し、中小企業の採用計画にどう使うかを整理します。
この記事のポイント
- 富山県の有効求人倍率は1.46倍、新規求人倍率は2.28倍(受理地別・季節調整値)
- 全国の1.17倍より高いものの、倍率は応募数や採用成功率を直接示す数字ではない
- 正社員や職種別の原数値、自社の応募実績まで分けて見ることが採用条件見直しの出発点
2026年5月の富山県雇用情勢
有効求人倍率 1.46倍全国1.17倍・全国4位タイ
新規求人倍率 2.28倍前月2.40倍から0.12ポイント低下
有効求人数 21,570人ハローワークで受理した求人
有効求職者数 14,820人ハローワークの月間有効求職者
2026年5月、受理地別・季節調整値。パートタイムを含み、新規学卒者を除きます。
富山県は1.46倍、全国は1.17倍
2026年5月の富山県の有効求人倍率は1.46倍で、前月の1.48倍から0.02ポイント低下しました。全国平均は1.17倍です。都道府県の受理地別では、富山県は岐阜県と並ぶ4位でした。
指標の対象と集計方法
| 指標 | 富山県 | 全国 | 集計方法 |
| 有効求人倍率 | 1.46倍 | 1.17倍 | 季節調整値 |
| 新規求人倍率 | 2.28倍 | 2.11倍 | 季節調整値 |
| 有効求人数 | 21,570人 | ― | 季節調整値 |
| 有効求職者数 | 14,820人 | ― | 季節調整値 |
数値を比較するときは、対象と集計方法が同じかを確認します。
月ごとの有効求人倍率は、季節による求人・求職の増減をならした「季節調整値」です。富山県の数字は、富山県内のハローワークが受理した求人を基準とする「受理地別」であり、実際の就業地別の数字とは一致しない場合があります。
1.46倍は「応募が1.46件来る」という意味ではない
有効求人倍率は、月間有効求人数を月間有効求職者数で割った地域全体の比率です。1.46倍とは、集計上、求職者数より求人数が多い状態を表します。自社の求人1件当たりの応募数や、採用できる確率を示す数字ではありません。
また、ハローワークに申し込まれた求人・求職の統計であり、民間求人サイト、人材紹介、知人紹介、自社採用サイトだけで動く採用は含まれません。「富山県全体の採用市場そのもの」ではなく、公的職業紹介の動きを見る指標として使います。
正社員倍率が上がっても、求人が増えたとは限らない
2026年5月の正社員有効求人倍率は1.49倍で、前年同月から0.05ポイント上昇しました。一方、正社員の有効求人数は12,155人で前年同月比3.4%減、分母となる常用フルタイム有効求職者数も8,135人で7.1%減でした。求人と求職者がともに減るなかで、求職者の減少幅が大きければ倍率は上がります。
この1.49倍は「原数値」であり、冒頭の季節調整済み1.46倍とは集計方法も対象も異なります。両者の大小だけを並べて、正社員のほうが採りやすい・採りにくいとは判断できません。
採用計画では「職種・条件・自社実績」の順に見る
全体倍率を確認した後は、次の順序で自社の採用へ落とし込みます。
採用計画へ落とす4段階
- 募集職種を合わせる:職種別の求人数・求職者数・求人倍率を確認する。
- 条件を比べる:地域の求人平均賃金、勤務時間、休日、未経験可否と自社条件を比較する。
- 自社の歩留まりを測る:閲覧数、応募数、面接数、内定数、入社数を記録する。
- 原因ごとに直す:閲覧が少なければ露出、応募が少なければ仕事内容や条件、辞退が多ければ選考速度や説明内容を見直す。
全体倍率だけで条件を即断せず、自社の歩留まりまで確認します。
単月の倍率で賃金や採用基準を即断せず、月次統計と自社の3か月程度の実績を組み合わせると、改善点を切り分けやすくなります。
ここは自社だけで判断しないほうがよい
判断を分けたい3つの場面
どの職業分類を見るか迷う分類を誤ると、関係の薄い市場データを基に条件を変えてしまいます。
単月の倍率だけで賃金を変えたい既存社員との均衡や自社の応募実績を確認せずに変更すると、別の不整合が生じます。
応募減の原因を数字から特定できない露出・仕事内容・条件・選考速度を分けないと、直す場所を取り違えます。
よくある質問
- 有効求人倍率1.46倍は、求職者1人に1.46社から求人があるという意味ですか?
- 個々の求職者が受ける求人数を示すものではありません。ハローワークの月間有効求人数を月間有効求職者数で割った地域全体の指標です。
- 全国平均より高ければ、採用条件を上げる必要がありますか?
- 全体倍率だけでは判断できません。募集職種の求人倍率、求職者数、地域の求人賃金、自社の仕事内容や勤務条件を確認して決めます。
この記事を読んだ後の3手
- 募集職種と現在の求人票、自社の直近3か月程度の応募実績をそろえる。
- 職種別倍率・求人賃金と自社条件を比べ、応募が止まる段階を特定する。
- 一度に全部を変えず、仕事内容・条件・選考手順のうち一つを決めて見直す。
当事務所のサポート
みなの社会保険労務士事務所では、富山県の職種別・賃金データと貴社の応募実績を整理し、仕事内容、労働時間、休日、賃金表示、選考手順を一緒に見直します。採用後の労働条件通知書や就業規則まで整合させ、入社後の行き違いを防ぐところまで支援します。求人を出しても反応がない、どこから直すべきか分からない場合は、現状の求人票をもとにご相談ください。
参考となる公式情報
企画の参考にした民間解説
※ 数値は2026年7月28日時点で公表済みの2026年5月分を使用しています。月別値は後日改定されることがあります。統計の対象・定義と最新値は公式情報をご確認ください。