求人票の賃金を決めるとき、「近隣企業より低くないか」「応募者はいくらを希望しているか」を感覚だけで判断していないでしょうか。富山労働局は、職種別の求職希望賃金と求人平均賃金を毎月公表しています。
2026年5月のデータを例に、一般求人とパートの単位を読み分け、社内の賃金バランスや求人票の表示へ落とし込む手順を解説します。
この記事のポイント
- 一般求人は千円単位の月額、パートは10円単位の時間額として読む
- 全職種計では、一般の希望額22.5万円に対し求人平均25.8万円、パートは1,140円に対し1,250円
- 平均値に合わせるのではなく、仕事内容、固定残業代、手当、既存社員とのバランスまで確認する
平均額を写さず、4段階で求人票へ反映
単位を選ぶ一般は月額、パートは時間額
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地域と比べる希望賃金と求人平均を確認
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社内と比べる既存社員・等級・仕事内容と照合
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内訳を示す基本給・固定残業代・手当を分ける
平均は目安です。最低賃金や割増賃金などの法定基準を満たすことが前提です。
一般は月額、パートは時間額で読む
富山労働局の「職種別求職希望賃金・求人平均賃金情報」は、一般とパートを一つの表に掲載しています。一般は千円単位の月額、パートは10円単位の時間額です。たとえばパート欄の「125」は125円ではなく、1,250円を表します。
2026年5月の主な全体値・職種別値は次のとおりです。いずれも税込の公表値で、男女別ではなく「計」を掲載しています。
一般とパートの単位を分けて比較
| 職業分類 | 一般・月額 | パート・時間額 |
|---|
| 希望賃金 | 求人平均 | 希望賃金 | 求人平均 |
| 職業計 | 22.5万円 | 25.8万円 | 1,140円 | 1,250円 |
| 一般事務 | 19.9万円 | 21.7万円 | 1,110円 | 1,200円 |
| 介護サービス | 21.6万円 | 22.5万円 | 1,140円 | 1,270円 |
| 生産工程 | 22.6万円 | 24.4万円 | 1,120円 | 1,200円 |
一般は月額、パートは時間額です。平均は個別求人の下限・上限ではありません。
この表の賃金は平均であり、個別求人の下限額や上限額ではありません。勤続年数、経験、資格、手当、賞与、所定労働時間などもそろっていないため、単純に「平均以上なら競争力がある」とは判断できません。
希望賃金との差だけで金額を決めない
職業計では求人平均賃金が求職希望賃金を上回っていますが、それだけで応募者が条件に満足しているとは限りません。求人平均に固定残業代や各種手当が含まれている場合、基本給だけを比べると見え方が変わります。仕事内容、責任、転勤範囲、勤務時間、年間休日、賞与、昇給も選択材料です。
また、公表表には男女別の希望賃金もありますが、性別ごとに採用賃金を変えるための資料ではありません。自社では、担当する職務、責任、必要な経験・資格、社内の賃金等級に基づいて一貫した基準を作ります。
既存社員との逆転・固定残業代を確認する
採用難を理由に求人賃金だけを上げると、同じ仕事をしている既存社員の賃金を上回ることがあります。求人条件を決める前に、同一・類似職務の社員について、基本給、職務手当、資格手当、固定残業代、評価・昇給時期を確認してください。
固定残業代を採用する場合は、求人票で次の3点を分けて示します。
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 何時間分の時間外手当として、いくら支給するか
- 設定時間を超えた時間外労働分は追加で割増賃金を支給すること
地域平均を満たしていても、最低賃金や割増賃金などの法定基準を下回ることはできません。採用時の表示と、労働条件通知書・給与計算の設定も一致させます。
求人票を見直す4つの手順
求人票を見直す4段階
- 分類を合わせる:役職名ではなく、実際の主な仕事内容に近い職業分類を選ぶ。
- 単位を確認する:一般は月額、パートは時間額で、希望賃金と求人平均を確認する。
- 社内基準と照合する:既存社員、賃金等級、職務・責任、法定基準と比べる。
- 内訳を明示する:基本給、固定残業代、手当、試用期間中の条件を分けて記載する。
地域平均をそのまま写さず、社内基準と賃金内訳まで照合します。
統計は毎月動きます。求人を出した後は、表示回数、応募数、面接辞退、内定辞退を記録し、賃金だけでなく仕事内容や選考対応も含めて見直します。
ここは自社だけで判断しないほうがよい
判断を分けたい3つの場面
求人賃金が既存社員を上回る同じ仕事の社員との均衡を確認せず決めると、賃金制度の説明が難しくなります。
固定残業代を含めて表示する基本給、対象時間、超過分の扱いが不明確だと、求人票と給与計算が食い違います。
平均額が法定基準を満たすか不安地域平均ではなく、自社の労働時間と賃金内訳で最低賃金・割増賃金を確認します。
よくある質問
- 求人平均賃金と同じ金額にすれば応募は増えますか?
- 応募増を保証する数字ではありません。仕事内容、勤務時間、休日、固定残業代、手当、勤務地などを含めて比較する必要があります。
- パート欄の125は時給125円という意味ですか?
- 違います。公表表のパート欄は10円単位なので、125は1,250円です。一般欄は千円単位の月額として読みます。
- 男女別の希望賃金を採用賃金の設定に使えますか?
- 性別で採用賃金を分ける使い方は適切ではありません。職務、責任、経験、社内の賃金基準をもとに設定し、統計は全体値を地域相場の参考にします。
この記事を読んだ後の3手
- 求人票と、同じ仕事をする既存社員の賃金内訳を並べる。
- 一般・パートの単位を分け、地域データと社内基準を照合する。
- 基本給・固定残業代・手当・試用期間条件を分けて求人票へ反映する。
当事務所のサポート
みなの社会保険労務士事務所では、地域の求人賃金と職種別倍率を確認しながら、貴社の賃金表、既存社員との均衡、固定残業代、各種手当を整理します。そのうえで、求人票、労働条件通知書、給与計算の設定が同じ内容になるよう整備します。「採用時の金額だけ上げてよいか迷う」「求人票と給与明細の内訳が合っているか不安」という場合は、資料を見ながら一緒に確認できます。