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労務トラブル

ハラスメント相談窓口の設置義務と、実効性ある体制づくり

パワハラ防止法により、すべての企業に相談体制の整備(相談窓口の設置など)が義務付けられています。しかし「窓口だけ作って終わり」では、形骸化してしまいます。

この記事のポイント

  • 相談窓口の設置は、企業規模を問わずすべての会社の義務
  • 相談時に、情報を共有する目的・相手・範囲を説明し、必要最小限に限定する
  • 保存期間とアクセス権限は社内規程で定め、緊急時は調査より先に安全を確保する

窓口設置に必要な要素

社内窓口と社外窓口の特徴

社内 業務理解と初動が速い社内人間関係によっては相談しにくいため、担当者の中立性を確保する
社外 第三者性と専門知識を使える社内へ必要情報を戻す手順と担当者をあらかじめ決める
会社の人数と相談しやすさを踏まえ、社内・社外の組合せも検討します。

社内窓口と社外窓口のメリット・デメリット

社内窓口

業務の理解が早い反面、社内人間関係から相談しづらい場合があります。

社外窓口

第三者性が確保される反面、相談内容を社内に共有する仕組みが必要です。

実務では、日常的な相談は社内窓口で受け、社内には話しづらい内容は社外窓口へ、と役割を分けて併用する形が現実的です。小規模な会社ほど、外部の専門家を社外窓口として活用する価値があります。

体制チェック表

相談体制の確認表

項目担当・時期できている状態の目安
窓口担当者事業主・人事が設置時に指定名前と連絡方法に加え、利益相反時の代替窓口を全従業員へ周知している
受付窓口担当者が相談時相談者の意向、心身の状態、希望する解決、情報共有の目的・相手・範囲を確認している
緊急保護人事・経営者が直ちに身体・生命への危険、深刻な体調悪化、報復のおそれがある場合に、接触回避・勤務場所変更・医療受診等を先行できる
記録管理人事責任者が平時に規定保存期間、保管場所、閲覧権限、廃棄方法を社内規程で定め、案件ごとのアクセスを限定している
対応フロー人事・経営者が設置時に作成相談受付→事実確認→措置→再発防止→フォローの手順と担当が決まっている
不利益取扱いの禁止全社へ定期周知相談・調査協力を理由とする不利益取扱いを禁止し、報復の兆候も確認している
窓口名だけでなく、受付後の担当・記録・フォローまで確認します。

プライバシーと記録の扱い

「誰にも話しません」と絶対的な秘密保持を約束すると、事実確認に必要な聞き取りができなくなることがあります。受付時に、相談内容はプライバシーに配慮して扱うこと、調査や保護措置のために必要な情報だけを関係者へ共有する場合があること、その目的・相手・範囲を説明し、相談者の意向を確認します。

相談記録について、一律に「5年以上保管」という一般的な法定期間は設けられていません。会社が案件対応、再発防止、紛争への備え等を踏まえて保存期間を社内規程で定め、相談窓口担当者、人事責任者など必要な人だけが閲覧できる状態にします。保存期間が終わった記録の廃棄方法も決めておきます。

実効性を高めるコツ

窓口を設置するだけでなく、定期的な研修と、相談しやすい雰囲気づくりが重要です。「相談したら不利益を受けない」ことを繰り返し伝えます。相談者や関係者への危険・報復・深刻な体調悪化が見込まれる場合は、事実認定を待たず、接触回避、勤務場所や指揮命令系統の一時変更、休暇・医療機関の案内など必要な保護を検討します。

ここは自社だけで判断しないほうがよい

判断を分けたい3つの場面

相談相手と行為者の利害が近い社内だけで抱えると中立性への疑念が生じるため、担当変更や社外窓口を検討します。
身体・生命の危険や報復のおそれがある通常の聞き取り順にこだわらず、相談者の安全確保を先に行います。
共有範囲・記録の保存方法に迷う必要以上の共有は二次被害や相談窓口への不信につながります。

よくある質問

従業員が少ない会社でも、相談窓口の設置は義務ですか?
企業規模を問わず、すべての会社の義務です。社内に話しづらい内容も想定されるため、小規模な会社ほど外部の専門家を社外窓口として活用する価値があります。
相談者に「誰にも話しません」と約束してよいですか?
絶対的な秘密保持を約束すると、事実確認に必要な聞き取りができなくなることがあります。受付時に、相談内容はプライバシーに配慮して扱うこと、調査や保護措置のために必要な情報だけを関係者へ共有する場合があること、その目的・相手・範囲を説明し、相談者の意向を確認します。
相談記録は何年保管すればよいですか?
ハラスメント相談記録そのものの保存期間を一律に定めた規定は見当たりません。案件対応、再発防止、紛争への備え等を踏まえて保存期間を社内規程で定め、相談窓口担当者や人事責任者など必要な人だけが閲覧できる状態にします。保存期間が終わった記録の廃棄方法も決めておきます。

この記事を読んだ後の3手

  1. 窓口、代替担当、社外連携先と、緊急時の連絡経路を一覧にする。
  2. 受付・事実確認・措置・通知・フォローの担当と記録様式を決める。
  3. 相談者役を置いた模擬受付で、共有範囲と初動が機能するか確認する。

当事務所のサポート

社外相談窓口の受託、相談対応フロー・規程の整備、管理職向け研修まで対応します。「窓口はあるが機能していない気がする」というご相談も歓迎です。

相談受付からフォローまでの5段階

  1. 受付当日から速やかに、共有範囲と危険度を確認
  2. 事実確認事案に応じて迅速に、中立的な聴取と記録
  3. 措置検討目安1週間で、経営層が対応策を決定
  4. 措置実施決定後2〜3日を目安に通知し、報復を防止
  5. フォロー3か月後・半年後に再発と職場状況を確認
身体・生命への危険や報復のおそれがあるときは、事実確認より先に安全を確保します。

参考となる公式情報

※ 相談記録には一般的な「5年以上」の法定保存期間が定められているわけではありません。保存目的とアクセス権限を含む社内規程に基づいて管理してください。2026年(令和8年)10月1日からは、カスタマーハラスメント対策と、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策も事業主の義務となるため、最新情報をご確認ください。

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