2026年6月、これまで対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援にも介護職員等処遇改善加算が新設されました。初めて加算に取り組む事業所向けに、加算率、二つの取得ルート、年度途中から始める期限と労務整備を整理します。
この記事が役立つ方
対象新設4サービスで処遇改善加算を初めて検討する事業所
困りごと二つの取得ルート、開始時期、賃金改善の進め方を選べない
読後にできること自事業所の取得ルートを絞り、開始月から届出と給与設計を逆算できる
この記事のポイント
- 加算率は訪問看護1.8%、訪問リハ1.5%、居宅介護支援・介護予防支援2.1%です
- 取得ルートは、令和8年度特例要件か、キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと職場環境等要件の整備のいずれかです
- 2026年6月の特例期限を過ぎても、通常の年度途中算定手続で申請できます
新設4サービスが選べる二つの取得ルート
ルートA令和8年度特例要件ケアプランデータ連携の利用等、または社会福祉連携推進法人への所属を確認します。
ルートB加算Ⅳに準ずる要件キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱと職場環境等要件を整えます。
賃金改善配分方法を設計
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届出計画書・体制届
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実績報告誓約した取組も確認
図1:申請時に未整備の取組を誓約した場合は、2027年3月末までの実施と実績報告が必要です。
2026年6月から対象になったサービスと加算率
2026年6月から対象になったサービスと加算率
| サービス | 2026年6月以降の加算率 |
| 訪問看護・介護予防訪問看護 | 1.8% |
| 訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション | 1.5% |
| 居宅介護支援・介護予防支援 | 2.1% |
加算率は個人の昇給率ではなく、1か月の対象単位数に掛ける率です。
加算率は、基本サービス費に各種加算・減算を加えた1か月の総単位数に掛ける率です。職員一人ひとりの給与を1.8%、1.5%、2.1%ずつ上げるという意味ではありません。実際に得た加算額以上を、賃金改善へ充てます。
取得ルートA:令和8年度特例要件
一つ目は、生産性向上や協働化に関する令和8年度特例要件を満たす方法です。新設4サービスでは、ケアプランデータ連携システムまたは厚生労働省が認めた同等システムを利用するか、法人が社会福祉連携推進法人に所属します。
ケアプランデータ連携システムは、加入だけでは足りません。申請時点で未利用の場合は利用を誓約できますが、2027年3月末までに実際に利用し、実績報告書で利用実績を報告します。対応システムは更新されるため、厚生労働省の認定一覧で申請時点の情報を確認します。
取得ルートB:キャリアパスと職場環境を整える
もう一つは、処遇改善加算Ⅳに準ずる要件を満たす方法です。職位・職責・職務内容に応じた任用条件と賃金体系を定めるキャリアパス要件Ⅰ、研修・資格取得支援を行う要件Ⅱ、職場環境等要件を整えます。
新設サービスでは「介護職員」ではなく、職員の任用・研修制度として整備し、全職員へ周知します。2026年度は、計画書で誓約すれば2027年3月末までに整備する取扱いがありますが、期限までの実施と実績報告が必要です。
これから年度途中で算定する場合
2026年6月算定開始時の特例期限はすでに経過しましたが、年度途中から通常手続で算定を始められます。新設4サービスは居宅系サービスのため、原則として次の期限で進めます。
年度途中の提出期限を開始月から逆算する
| 書類 | 通常期限 | 10月開始の例 |
| 処遇改善計画書 | 算定開始月の前々月末 | 8月31日 |
| 体制届 | 算定開始月の前月15日 | 9月15日 |
提出先、様式、電子申請の可否、休日の扱いは指定権者へ確認します。
提出先は都道府県または市町村など指定権者によって異なります。計画書と体制届の両方を準備し、指定権者の様式、電子申請の可否、休日の扱いを確認してください。
初めての賃金改善で決めること
初めての賃金改善で決める5項目
- 加算を配分する職員の範囲と、職務・勤務実態
- 基本給、毎月の手当、賞与をどう組み合わせるか
- 賃金規程、雇用契約書、給与明細の項目名
- 職員へ説明する配分基準と問い合わせ窓口
- 毎月の加算額と賃金改善額を照合する担当者
申請前に配分シミュレーションを作り、計画書と給与実績をつなげます。
加算申請と給与設計を別々に進めると、計画書の数字と給与実績が合わなくなります。申請前に配分シミュレーションを作り、入退職や時短勤務があった場合の調整方法も決めておくと安全です。
ここは自社だけで判断しないほうがよい
取得ルート・届出・給与設計を別々に決めないことが重要です
ルートAを「加入だけ」で選ぶケアプランデータ連携等は実際の利用と実績報告まで確認します。
期限を一律に当てはめる指定権者、算定開始月、様式、休日の扱いを確認して提出日を決めます。
加算率をそのまま昇給率にする実際の加算額、算定区分、賃金項目、職員区分を基に配分を設計します。
よくある質問
- 2026年6月の申請期限を過ぎても算定を始められますか?
- 年度途中からの通常手続で申請できます。新設された4サービスは居宅系のため、計画書を算定開始月の前々月末まで、体制届を前月15日までに提出するのが原則です。
- ケアプランデータ連携システムは加入だけで要件を満たしますか?
- 加入だけでは足りず、実際に利用する必要があります。申請時に利用を誓約した場合は、2027年3月末までに利用し、実績報告書へ利用実績を記載します。
- 加算率と同じ割合で全職員を昇給させる必要がありますか?
- 加算率は介護報酬の対象単位数に掛ける率であり、個人の昇給率ではありません。実際の加算額以上の賃金改善を行い、勤務実態に合う配分基準と記録を整えます。
取得検討で、まず行う3手
- 現在のシステム利用状況とキャリアパス整備状況から取得ルートを比較する
- 算定開始月を決め、計画書と体制届の期限を指定権者へ確認する
- 加算見込額と職員区分を基に配分を試算し、規程・給与・記録へつなげる
当事務所のサポート
みなの社会保険労務士事務所では、訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援等の初回取得に向け、取得ルートの比較、職員区分と配分試算、賃金・キャリアパス規程、研修計画、職員説明、給与への反映まで一体で支援します。加算見込額と整備コストを比べてから取得判断をしたい場合も、まずは事業所の体制をお聞かせください。