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法改正情報

【令和8年度】歯科ベースアップ評価料|届出と8月報告

令和8年度の歯科外来・在宅ベースアップ評価料は、対象職員が広がり、継続的に賃上げしている歯科医院には高い点数が設定されました。一方で、届出後も毎年8月の報告が必要で、2026年8月は令和8年度の中間報告と令和7年度の実績報告を取り違えないことが重要です。院長先生が「いま何を確認すべきか」を、届出・賃上げ・報告の順に図解します。

この記事のポイント

  • 2026年8月は令和8年度算定分の「賃金改善中間報告書」必要です。6月から算定している医院は6月・7月分を記載し、算定開始月により必要な様式と記載期間が変わります
  • 令和8年3月31日時点の算定状況、評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)の別、過去の賃上げ実績により、様式95・96・98など必要なシートが変わります
  • 継続的賃上げの高い点数で算定していても、報告書の収入額は上乗せ分を除いた本体点数に置き換えて計算します

評価料のお金は何に使えるか

医院の自由な収益ではなく、対象職員の賃金改善に充てるための診療報酬です。

図1 評価料収入から賃金改善までの流れ

REVENUE診療報酬として算定初診・再診・歯科訪問診療などの算定回数に応じて医院へ入ります。
DESIGN対象職員と賃金項目を決める基本給または毎月決まって支払う手当の引上げを設計します。
REPORT賃金改善に充当して報告基本給等の引上げと、それに伴う賞与・時間外手当・法定福利費等の増加分に使います。
評価料収入と賃金改善額は、同じ月に完全一致するとは限りません。年度・算定期間を通じて記録し、報告書で整合を確認します。

令和8年度から対象範囲は広がり、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手、受付・医療事務などに加え、40歳未満の勤務歯科医師対象になり得ます。一方、40歳以上の医師・歯科医師、業務委託で勤務する方、経営者・法人役員は対象外です。派遣職員は、派遣元との調整や同程度以上の賃金改善など一定の条件を満たす場合に限り対象に含められます。

「評価料があるので医院の持ち出しは必ずゼロ」とは限りません。算定回数、職員構成、賃上げ時期、社会保険料等の増加額で差が出るため、収入見込みと賃金改善額を別々に試算します。

2026年8月までの年間スケジュール

届出で終わりではなく、中間報告と翌年の実績報告までが一続きです。

図2 令和8年度の主な手続き

  1. 算定開始前月届出書を提出令和8年6月からの一斉算定分は5月中(6月1日必着)でした。今後新たに始める場合も、原則として算定開始月の前月までに提出します。
  2. 2026年8月令和8年度の中間報告6月から算定している医院は、令和8年6月・7月の賃上げ状況を「賃金改善中間報告書」報告します。算定開始月により記載期間が変わります。
  3. 2026年8月令和7年度の実績報告令和7年度に算定していた医院は、旧様式の「賃金改善実績報告書」提出します。令和8年度用とは様式が異なります。
  4. 2027年5月令和9年度の届出要否を確認令和8年度から評価料(Ⅰ)だけを継続する場合は届出不要です。(Ⅱ)を算定する場合や区分変更等がある場合は、該当様式を提出します。
  5. 2027年8月令和8年度実績・令和9年度中間を報告前年度の実績報告と当年度の中間報告をそれぞれ作成します。
評価料の算定期間は原則6月から翌年5月、令和8年度の賃金改善は4月から翌年3月が基本です。6月から翌年5月の評価料収入を、4月から翌年3月の賃金改善へ充てる取扱いがあります。

必要な届出様式の見分け方

保存済みの古いExcelを再利用せず、厚生労働省の特設ページから最新版を取得します。

ほとんどの歯科診療所は「別添2+様式95」の2枚です。(Ⅱ)を算定する場合と、過去の賃上げ実績で高い点数を取る場合だけ様式が増えます。

様式の対応表を見る(実務者向け)
医院の状況様式の目安確認すること
すべての医療機関別添2+様式95対象職員、算定開始月、継続的賃上げの区分
評価料(Ⅱ)も算定上記+様式96月額賃金総額、算定見込み回数、該当区分
有床診療所で入院ベースアップ評価料も算定上記+様式97病床数、入院患者延べ数、必要な区分
令和8年3月31日時点では算定していないが、過去の賃上げ実績で高い点数を届け出る上記+様式98令和6年3月時点の給与体系との比較(開業時期により比較基準が変わる場合あり)
同一法人内の複数医療機関を通算上記+様式99同一の給与体系など通算要件
令和8年度の中間・実績報告様式100令和7年度実績は旧様式を使い、令和8年度中間と混同しない
事業継続上の特別事情で賃金水準を引き下げる様式94例外的な取扱いの要件と説明資料

これは無床の歯科診療所を中心にした目安です。有床診療所、評価料(Ⅱ)、入院料減算免除、歯科技工所ベースアップ支援料が関係する場合は分岐が増えます。必ず公式の「必要な様式早見表」と最新Excelで最終確認してください。

通常点数と継続的賃上げの点数

令和8年3月31日時点の算定状況、または過去の賃上げ実績により、高い点数の対象になるかを判定します。

PATTERN A

2026年3月31日時点で対象評価料を算定

(Ⅰ)の継続点数は同日時点の(Ⅰ)の算定状況、(Ⅱ)の継続点数は(Ⅱ)または入院ベースアップ評価料の算定状況など、評価料ごとの条件を確認します。

PATTERN B

当時は未算定だが賃上げ実績を示せる

令和6年3月時点の給与体系との比較で所定水準を満たす場合、様式98を用いる経路があります。2024年4月以降に開業した医院は開業時の給与体系を用いる場合があります。

PATTERN C

過去実績の条件を満たさない

通常点数で算定を始め、令和8年度の賃上げと記録を整えます。翌年度の区分は、その時点の要件であらためて確認します。

図3 歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の点数(2026年6月~2027年5月)

初診時
通常
21点
継続
31点
再診時等
通常
4点
継続
6点
歯科訪問診療(同一建物居住者以外)
通常
66点
継続
107点
歯科訪問診療(同一建物居住者)
通常
11点
継続
21点
評価料(Ⅱ)は、評価料(Ⅰ)だけでは必要な賃金改善原資が大きく不足する一部の医院が対象です。様式96の計算結果で対象可否と区分を確認します。

賃上げ率と配分の考え方

「令和8年度に新たに目指す賃上げ」と「継続的賃上げの高い点数を取るための比較水準」は別の数字です。

図4 職員グループ別の水準と、様式98の合算判定

GROUP 01

① 事務職員を除く対象職員

医師・歯科医師・看護補助者・事務職員を除く対象職員

令和8年度に目指す率3.2%
継続の比較水準5.5%
GROUP 02

② 看護補助者・事務職員

受付・医療事務などを含む看護補助者・事務職員

令和8年度に目指す率5.7%
継続の比較水準8.0%
改善後の合計①1,461,000 + ②391,000=1,852,000円
必要額の合計①1,381,000+75,955 + ②360,000+28,800=1,845,755円
差額1,852,000 − 1,845,755=6,245円 ≧ 0 → 算定可能
架空の医院による計算例です。様式98は①②を別々に合否判定せず、改善額と必要額をそれぞれ合算して判定します。この例の余裕は6,245円で、必要額の約0.34%です。

継続的賃上げの判定は、2群それぞれに形式的に同じ率を配るかどうかだけで決まりません。両群の実際の改善額の合計が、両群に求められる改善額の合計以上かを様式98で確認します。医院内の公平性・就業規則説明可能性も合わせて設計します。

40歳未満の勤務歯科医師は対象に含まれますが、評価料(Ⅱ)の賃金改善算定基礎額は給与総額ではなく、常勤・一定時間以上の非常勤の人数に所定額を掛ける方式です。経営者・法人役員は含めません。

賃金改善で避けたいこと

評価料のための賃上げであることを、給与規程と賃金台帳か説明できる状態にします。

図5 避けたい3つと、記録しやすい1つ

既存手当を減らして付け替える

評価料による改善分を除いた賃金水準を引き下げて、新しい手当に見せ替える方法は避けます。事業継続上の特別事情がある場合は別の届出が必要です。

賞与だけで配り切る

基本は、基本給または毎月決まって支払う手当の引上げです。賞与等に充てられるのは、基本給等の引上げに伴う増加分など認められた範囲です。

対象項目と起算月を決めない

賃金台帳に増額はあっても、何を評価料による改善として扱ったのかが説明できないと、報告書との照合が難しくなります。

毎月固定の手当を設けて記録する

「ベースアップ手当」毎月決まって支払う手当を設ける方法は可能です。就業規則・賃金規程、職員への周知、賃金台帳をそろえます。

8月報告の計算で間違えやすい

継続的賃上げの上乗せ点数を、そのまま収入実績額へ入れないことが要点です。

図6 報告書に使う点数の誤りと正解

よくある間違い

実際に算定した継続点数を使う

初診 31点 × 回数
再診 6点 × 回数

収入額が約1.5倍に膨らみ、賃金改善額との比較を誤る可能性があります。

正しい計算

上乗せ前の本体点数へ置き換える

初診 21点 × 回数
再診 4点 × 回数

継続点数で算定していても、報告書は本体点数で収入実績額を計算します。

訪問診療も同様に、継続107点は本体66点、継続21点は本体11点へ置き換えます。

厚生労働省の疑義解釈では、継続的賃上げの評価分を収入実績額に含めず、本体点数だけを算定した場合に置き換えて計算すると示されています。実際のレセプト点数をそのまま掛けると、評価料収入を過大に計上し、賃金改善額との比較を誤る可能性があります。

医院だけでは判断が難しいところ

院内だけで決める前に、賃金台帳・賃金規程・算定状況を照らして確認したい論点です。

図7 判断を誤ると報告額や算定区分がずれる5か

  • 受付と歯科助手を兼務している職員は①②どちらに数える時間按分ではなく、「主として」どちらを担当しているかで丸ごと決まります。間違えると:2つのグループの金額が両方ずれ、必要額の計算が狂います
  • 年度途中の入職・退職一人ごとの在籍月数ではなく、評価料の総算定月数で割って月額換算します。間違えると:賃上げ額が実際の何倍にもなって報告されます
  • 勤務歯科医師が期中に40歳になる対象となる時期を確認し、対象職員と金額をそろえます。間違えると:対象者と金額が合わなくなります
  • 職員数が1割以上変動し、再計算で区分が変わる評価料(Ⅱ)を算定する医院は、変動と再計算後の区分を確認します。間違えると:気づか過大に算定し、返還になります
  • 令和6年3月時点の給与体系での金額が出せない賃金規程が未整備だと、当時の給与体系を現在の職員へ当てはめる計算で止まりやすくなります。間違えると:計算できない職員を除いて報告し、実績が過大になります
1つでも判断に迷う場合は、院内だけで決めず、計算根拠を確認してから届出・報告へ進みます。

提出前の確認リスト

  • 厚生労働省の特設ページから、2026年8月時点の最新Excelと早見表を取得した
  • 令和8年3月31日時点の評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)の算定状況を確認した
  • 令和7年度実績報告と令和8年度中間報告のどちらが必要かを確認した
  • 対象職員、40歳未満の勤務歯科医師、経営者・役員、業務委託、派遣職員を区分した
  • 基本給・毎月固定の手当と、賞与・時間外手当・法定福利費等の増加分を分けて集計した
  • 報告書の収入実績額は、継続的賃上げの上乗せ分を除いた本体点数で計算した
  • 評価料(Ⅱ)は、対象職員数または直近3か月の算定回数が1割以上変動し、再計算で区分が変わる場合の再届出要否を確認した
  • 職員への説明内容、就業規則・賃金規程、賃金台帳、計算根拠を保存した

ご注意

本記事は2026年8月8日時点の令和8年度診療報酬改定資料、厚生労働省の疑義解釈、東海北陸厚生局の案内をもとにした一般的な整理です。届出様式は2026年にも複数回更新されています。実際の届出・報告では、医療機関の種別、算定開始時期、評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)、職員構成に応じて最新様式と管轄厚生局の案内を確認してください。

よくある質問

2026年8月に歯科医院が提出する報告書は何ですか?
令和8年度の算定分については、「賃金改善中間報告書」8月中に提出します。令和8年6月から算定している医院は6月・7月の賃上げ状況を記載しますが、算定開始月により必要な様式と記載期間が異なります。令和7年度にも算定していた医院は、令和7年度分の「賃金改善実績報告書」必要です。
5月の届出に間に合わなかった場合、令和8年度はもう算定できませんか?
令和8年6月から算定するための一斉届出期限は終了していますが、新たに算定を始める場合は、原則として算定開始を希望する月の前月までに届出を行います。算定開始月や必要様式は個別の状況で変わるため、提出前に東海北陸厚生局の案内と最新Excelを確認してください。
ベースアップ評価料収入は賞与だけに充てられますか?
基本給または毎月決まって支払う手当の引上げが基本です。評価料収入は、その引上げに伴う賞与、時間外手当、法定福利費の増加分にも充てられます。賞与だけで完結させるのではなく、対象となる基本給等の引上げと報告できる記録を整える必要があります。

当事務所のサポート

みなの社会保険労務士事務所は、歯科医院の賃金台帳・給与規程・算定回数を確認し、対象職員の整理、評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)の判定、賃金配分の設計、届出書・中間報告書・実績報告書の作成支援まで対応します。まずは現在の算定状況と、2026年8月に必要な書類を一緒に整理するところからご相談ください。

参考となる公式情報

※ 2026年8月8日時点の公式情報を確認しています。様式は更新されることがあります。提出時は、上記の特設ページと管轄厚生局で最新版をご確認ください。

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