年5日の取得義務は、会社が5日分の休暇日を指定すれば終わりではありません。対象となる労働者が、基準日から1年以内に実際に5日取得するまで確認する必要があります。
管理の軸は、労働者ごとの「基準日」「取得日」「取得日数」です。管理監督者や有期雇用、比例付与のパートタイマーも、法定の付与日数が10日以上になる場合は対象です。
この記事が役立つ方
対象年休5日取得義務と管理簿を管理する中小企業の担当者
困りごと対象者、5日への算入、基準日と保存期間の管理方法が曖昧
読後にできること労働者ごとの基準日・取得日・日数を登録し、期限前に不足者を抽出できる
この記事のポイント
- 対象者は、その基準日に法定年休が10日以上付与される労働者
- 本人取得・計画年休・使用者指定を合計。時間単位年休は5日に含めない
- 年休管理簿には基準日・時季・日数を記録し、当分の間3年間保存する
年休5日管理の流れ
対象者判定法定付与10日以上
→
取得を集計本人取得・計画年休・時季指定
→
不足を指定本人の意見を聴く
→
管理簿保存基準日・時季・日数
図1:予定ではなく、基準日から1年以内に実際に取得した日数まで確認します。
誰が年5日取得義務の対象になるか
2019年4月1日以降、法定の年次有給休暇が10日以上付与される労働者について、使用者は基準日から1年以内に5日を取得させなければなりません。管理監督者、有期契約労働者、比例付与の日数が10日以上になるパート・アルバイトも対象です。
判定は前年度からの繰越分を含む残日数ではなく、その基準日に法律上付与すべき日数で行います。法定どおり入社6か月後に10日付与する場合はその付与日、入社日に10日を前倒しで付与する場合は前倒しした日が基準日です。
年5日の数え方
年5日は、労働者本人が請求して取得した年休、労使協定に基づく計画年休、使用者が時季を指定して実際に取得させた年休を合計して判定します。
年5日に算入できる休暇を分ける
| 休暇の種類 | 年5日に算入できるか |
| 1日単位の年休 | できる |
| 半日単位の年休 | 0.5日としてできる |
| 時間単位年休 | できない |
| 会社独自の特別休暇 | 原則できない |
| 計画年休 | できる |
時間単位年休は年5日に算入せず、半日単位年休は0.5日として扱います。
本人取得と計画年休で5日に達していれば、使用者が追加で時季指定する必要はなく、指定することもできません。不足日数を指定するときは本人の意見を聴き、できる限り希望を尊重します。使用者による時季指定を行う場合は、対象となる労働者の範囲と指定方法を就業規則に定めます。
年次有給休暇管理簿に記録する3項目
年休管理簿には、労働者ごとに「基準日」「実際に取得した時季」「取得日数」を記録します。独立した帳簿を新しく作る必要はなく、労働者名簿や賃金台帳と一体で管理できます。必要なときに出力できれば、勤怠システムや表計算ソフトでの管理も可能です。
保存期間は、労働基準法施行規則の本則では対象期間中と期間満了後5年間ですが、経過措置により2026年7月28日時点では当分の間3年間です。前倒し付与や一斉付与で基準日が重なる場合は、単純な年度管理にせず履行期間を確認します。
期限直前に慌てない管理手順
期限直前に慌てない管理手順
- 年休付与時に、基準日・期限・法定付与日数を登録する
- 毎月、本人取得・計画年休・時季指定を合算する
- 基準日から半年程度で5日未満の人を抽出する
- 不足が見込まれる場合は、本人の意見を聴いて時季指定する
- 予定だけでなく、実際に休んだことを確認する
- 期間終了後、管理簿を保存する
法定期限より前に社内の確認時期を決め、不足が見込まれる人へ早めに対応します。
法令上の期限は1年ですが、最終月にまとめて指定すると繁忙や病気などで調整できないことがあります。法定期限より前に社内の確認時期を決めておく方が安全です。
ここは自社だけで判断しないほうがよい
勤務日数や残日数だけでは対象者と取得日数を判定できません
パート・管理監督者を一律に除くその基準日に法律上付与される日数が10日以上か、個人ごとに確認します。
時間休や特別休暇を5日に含める1日・半日・時間単位、会社独自休暇を分けて集計します。
年度だけで一括管理する前倒し付与・一斉付与を含む基準日と履行期間、保存期間を個人別に確認します。
よくある質問
- 週3日勤務のパートも対象ですか?
- 雇用形態や週の勤務日数だけでは決まりません。その基準日に法律上付与される年休日数が10日以上なら対象です。比例付与で10日に達していない時点では対象外です。
- 時間単位で合計40時間の年休を取れば、5日取得したことになりますか?
- なりません。時間単位年休は年5日の取得日数へ算入できません。半日単位年休は、本人の希望に基づく取得であれば0.5日として算入できます。
- 本人が既に5日取得している場合も、会社が5日を指定しますか?
- 必要ありません。本人取得と計画年休を含めて5日に達した時点で、使用者による時季指定は不要となり、それ以上の時季指定もできません。
年休管理で、まず行う3手
- 労働者ごとの基準日・期限・法定付与日数を登録する
- 本人取得・計画年休・時季指定を毎月合算し、時間単位年休を分ける
- 基準日から半年程度で不足者を抽出し、本人の意見を聴いて取得まで確認する
当事務所のサポート
みなの社会保険労務士事務所では、基準日の整理、年休管理簿の様式、就業規則の時季指定規定、勤怠システムでの確認方法まで、会社の付与方法に合わせて整えます。
参考となる公式情報
※ 2026年7月28日時点の公式情報を確認しています。制度は改正されることがあります。手続き・金額・期限は、上記の公式情報や管轄窓口で最新の内容をご確認ください。